5月21日、耳のないマウスによるワークショップ「アート×テクノロジー」を開催しました。10人の子どもたちが、簡単なプログラミングを使って、「変な動物園」を創りました! 清流の国ぎふ芸術祭ボランティアの山田 唯仁さんによるレポートです。
Art Award IN THE CUBE 2017では、出展作家によるワークショップが実施されています。アーティストの方々によるワークショップは、各々の特技を活かした個性的なものばかりです。ボランティアのメンバーである私も補助として、楽しみつつ参加させていただいています。
5月21日(日)には、耳のないマウスさんが「アート×テクノロジー」というワークショップを開催していまいた。このワークショップは、テクノロジーをつかい「不思議な動物たちをつくろう」というものです。参加者である子どもたちは、アートとテクノロジーが合体する不思議さや面白さを体験していました。
ワークショップは、耳のないマウスさんによる明るく楽しいトークや、会場にいる全員でのアイスブレイクにより始まりました。また会場には、耳のないマウスさんがつくったという不思議な動物たちがいました。触ると声をだすという鳥などがおり、子どもたちは興味深くみていました。この動物たちにはテクノロジーが使われているとのことです。
不思議な動物たちをつくるために、まず子どもたちはテクノロジーの体験をしました。子どもたちはアーティストと一緒に、iPadと『MESH』という電子機器をつかった簡単なプログラミングをします。私自身も触れたことのないものであり戸惑いましたが、教えていただきながら補助をしました。
ここで使われた『MESH』とは小さなブロックのような機器でした。人が近づいたり、暗いところへもっていったり、振動をあたえたりといった様々な条件を感知し、iPadによってプログラミングされた反応をするようです。子どもたちは、体験したことのないようなテクノロジーの世界に驚いていました。
簡単なプログラミングができたら、次は動物をつくる活動に入りました。アーティストやご家族と一緒に、好きな動物を思い浮かべながら制作をします。段ボールや色紙、風船、ビニールなどを材料とし、ハサミやカッターで形を切り出したり、テープやボンドでくっつけたりしていました。
『MESH』を取り付けると、つくった動物が鳴き声あげたり、目を光らせたりして、まるで生きているかのように感じられます。「暗いところで鳴き声をあげる動物にしようかな」というように、『MESH』でプログラムした内容を関連付けながら、制作活動をする子どもの姿が多くみられました。
制作の活動ではボランティアとして、道具の安全な使い方についてサポートをしたり、つくり方におけるアドバイスをしたりしました。子どもは楽しみながら真剣に取り組んでおり、各々に工夫がみられました。「こんな動物がつくりたい!」という発想を形にできるよう、子どもとお話をしながら、寄り添った補助をするということを心がけています。
「会場を不思議な動物園にしよう」というかけ声の下、子どもたちは完成させた動物たちを好きな場所に置きます。「この動物にピッタリの場所はどこかな?」と考える姿がみられました。全員が置き終えると、動物園内ツアーが行われました。一人一人の子どもが、どんな動物がいるのかを会場のお友達に紹介してまわりました。素敵な動物たちがたくさんおり、子どもたちからは、「カワイイ!」、「カッコイイ!」または「コワイ?」といった声が上がっていました。
耳のないマウスさんはAAICにおいて、移動する主体(カタツムリ)という作品を出展されています。今回の「アート×テクノロジー」は、出展作品における“カタツムリ”たちの不思議さのヒミツを、少し体験できるものだったように感じられます。芸術と科学技術の複合という難しいテーマを簡単に体験できた本企画は、子どもたちのアートへの考え方をより深めるような、とても素敵なワークショップでした。
本レポートを書かせていただいた私は、美術教育を専攻している大学院生です。ボランティアでは、興味のある分野であるワークショップに参加することができ大変勉強になっています。アーティストの方々による専門的な技術や斬新な発想は、驚かされるものばかりです。子どもとアートの関わり方について考えることのできる、とてもよい機会になりました。