森 貞人 MORI Sadahito
Mimesis Insect Cube
身体の一部として作られた道具や、身体と触合うことで感情が生まれ記憶が残るモノ達。道具やモノは時代の変化、利便性の追求、科学の進歩により『ガラクタ』と呼ばれ廃棄され消えて行きます。東日本大震災では一瞬にして消える未来もある事を見せられました。しかし身体の魂や感情等大切なものが宿る、使い古された『ガラクタ』は重要な存在です。
想い出や記憶を亡くしてしまう無念な思いが起点となり、昆虫の擬態をヒントに、最初のムシ型オブジェを制作しました。現実の虫に似せるのではなく『見たことのないモノはきっと素晴らしい』というコンセプトで『空想のガラクタムシ』をイメージしました。道具の機能美や手に柔らかい曲線は『身体のゆくえ』の延長線上に存在します。この作業はアート作品を作るというより、幼い頃の昆虫採集に似た感覚です。現在、1000点を越える擬態オブジェを採集し、中にはクマゼミの死骸から頂戴した羽を付けた擬態羽ムシも存在します。
これらの擬態ムシを壁面、天井などに展示し、丈六のキューブ空間を巨大なムシカゴとして表現します。擬態ムシ達は自らが身体の延長線上に在るモノとして丈六空間に集いました。
昆虫の擬態をヒントに、ムシ型オブジェを制作し、時代の漂流物となった「ガラクタ」に命を吹き込みます。無数のムシが解き放たれたキューブの中央に座して、モノに残る思念を感じ取り、身体の行方を問う丈六空間を生み出します。
《Mimesis Insect Cube》
Taking a hint from insect mimesis, the artist creates insect-shaped objets d’art by breathing new life into thrown-out pieces of scrap. Visitors can sense the thoughts that are still inherent in these objects as they sit in the center of a cube scattered with countless insects, creating a space of the same dimensions (about 5 m) as the stature of the Buddha in which to question the whereabouts of the body.
MORI Sadahito
Born in Aichi Prefecture in 1950 / Based in Aichi Prefecture