9月28日、10月1日、10月15日、15組の入選作家を5組ずつ岐阜県美術館に招き、美術館見学会を開催しました。見学会では、企画委員からの開催意図説明、美術館見学、ファクトリーチームとの面談、事務局からの協定等の確認などが行われました。
入選後、初めての顔合わせの機会となった本イベント。目をキラキラさせた若手作家、展示プランのレイアウトを持参した中堅作家、新しい技術的なチャレンジをするグループなど、それぞれが、ベスト・クオリティの作品を発表すべく、スタートをきりました。
Art Award IN THE CUBE 2017 は、公募によって作家たちへ平等に機会を提供すること、才能のある作家を掘り出すことを志しています。そして、それを実現するための“空間装置”として、重要な要素となるのがキューブ。今回の顔合わせでは、キューブの仕様・設計の打ち合わせが、重点的に行われました。
安野太郎「バルーンを支えるやぐらが大きいんですよ」
耳のないマウス「軌道修正はトラッキングを考えています」
谷本真理「床の保護は?」 ファクトリーチーム「長尺シートがいいでしょうね」
堀川すなお「照明は、イカ釣り漁船の電球みたいなイメージ」
松本和子「漆喰パネルは1枚3キロくらいかな?」
平野真美「ユニコーンの血液を循環させるポンプを検討中です」
中村潤「壁の高さと開口部をどうするか、ですね」
水無瀬翔「店舗風にしたくて」 ファクトリーチーム「外壁に看板をつけるとか」
森貞人「キューブに網パネルをつけたい」 ファクトリーチーム「寒冷紗が良さそう」
柴山豊尚「アクリルミラー、ガラスミラー、それぞれ長所短所があるのですね」
佐藤雅晴「プロジェクターでは当たり前なので、iPadかiPhoneにしようかと」
三枝愛「実際に美術館を見てみて、借景を考えました」
宮原嵩広「常温アスファルトなので、熱は発生しません」
ミルク倉庫+ココナッツ「槌音が一番大きな音になると思う」
三木陽子「実寸大キューブフレームを見て展示のアイデアが」
Art Award IN THE CUBE 2017 では、これまでの実績の有無を問わない一般公募としたことで、新しい才能を発見することができました。一方で、作品企画が審査に通った15組の作家は、作品と展示の質の高さが問われます。15組の作家にとって、入選したことは、作家としてのキャリアを重ねるチャンスであり、出発点となります。普段、単独で制作する作家にとって、キューブのスケール感や、自作との構造的な適合性に関しては、次々と難問が発生するように感じられることもあるでしょう。しかし、15組の作家のみなさんが、本展のための制作を通し新たな可能性を探る機会として下さっているのが伝わってくる打ち合わせでした。
(M.T)