アーティスト


この部屋とダンス
Dance with this room
谷本 真理 TANIMOTO Mari

この部屋とダンス

何か形を作ったり絵を描いたりすることは私の欲求の一つであるが、その行為や出来上がった物は自分の作為や意図の壁に囲まれているようで、もどかしく息苦しいことがある。ところがある時、ふと作りかけていた粘土の塊を床に投げつけてみた。自分がさっきまで作っていた形は一瞬でぐちゃっと潰れてしまったが、今までにない快感であった。それまでの自分を台無しにする行為と、それに伴う新鮮な感覚が私を息苦しい気持ちから解放させた。

投げる時、私の身体の動きに影響されて粘土は飛んで行き、壁や物に当たって潰れ、物が壊れたりする。粘土が潰れた感触や、粘土が当たったもの(壁や物など)に、まるで私が触れているような感覚がある。実際には私は触れたわけではないのに、粘土という重たくて可塑性のある素材が媒体となり、その瞬間がとてもリアルに伝わってくる。それは私が把握している範囲よりもずっと遠くへ飛び出していくような感覚である。私の振る舞いひとつひとつが軌跡となりがどんどん広がって空間が出来上がっていく、まるでダンスを踊っているような。

この行為は私にとって破壊ではなく、一度作った物や空間を変化させていく新たな造形方法のひとつなのである。



谷本 真理

1986年兵庫県生まれ。東京都拠点。
京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒、京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。
2011/新・陶・宣言/豊田市美術館/愛知県豊田市
2013/黄色地に銀のクマ∪スーパーホームパーティー/神戸アートビレッジセンター/兵庫
2014/Under 35「谷本真理 個展」/BankART studio NYK/神奈川
2015/中身のパノラマ/コーポ北加賀屋/大阪
粘土で何かの形を作り、柔らかいうちに壁や床、彫刻や絵がある空間に向かって投げつける。粘土は潰れて元の形が分からなくなり、空間内の全ては粘土が貼り付いたり壊れたりする予感に迫られている。