記事


谷本真理「粘土のインスタレーション」で顔が完成!

4月29日、谷本真理さんが、公開制作を行い、45人の来場者が、谷本さんの公開制作を見守りました。

谷本さんの作品は、自身が自然/気持ちいいという状況にものを置き、粘土を投げたり、鑑賞者が接触してそれが割れ、変化することも受け入れるというもの。それは谷本さんが「動き自体が、空間を構成する」と感じているからです。

入り口だけではなく、壁2面にもあいた窓からも、のぞけます! 審査員のOJUNさんが「窓外からの景色が細密画のように美しい」と評したこの視点、実は特等席かも。窓から飛んできた粘土が、谷本さんが滞在制作をした多治見工業高校の先生にあたり、笑いがおきる一幕も。

公開制作が始まって間もなく、粘土を伸ばして輪にし、輪投げを始めた谷本さん。固唾をのんで眺めていた来場者たちも、谷本さんの自然な立ち振る舞いに、だんだんリラックスしてきました。

次に、谷本さんは、CUBEの入口付近で、おもむろにしゃがみこみ、何やら作り出しました。作っていたのは…、顔です! …でも、片目はつけないまま。

黒い美濃粘土を手に取り、小さく千切って丸め…、天井に向かって投げました! 天井にあたって、床にポトリと落ちる粘土。それを何回も繰り返し、床には丸い小さな粘土がたくさん。粘土が天井にあたって顔の目の位置に落ちるよう、投げていたのでした。

「やってみる?」と、子どもたちに粘土を渡します。

最後にとうとう…! できました!

 Art Award IN THE CUBE 2017は変化のときと重なって

谷本さんが大学時代に発見し、今も継続している制作手法は、「粘土を投げる」というもの。AAIC準備期間中には、「壁に貼ってあった絵が落ちた」ことから、ドローイングが新たな意味をもって浮上してきました。谷本さんの制作に通底する、“意図の内発性”と、「色が好き・クレヨンが削れていくのが気持ちいい」というもともと絵を描くのが好きだった感覚にもピントが合い、しばらく制作していなかった絵も描きはめ、AAICでは、当初のプランになかったドローイングが登場しています。

身体的喜びが感じられるドローイング、それらが垂れ下がったり仮止めされたCUBEからは、変わることを厭わない姿勢と、谷本さんの可能性が感じられます。観る人によっては「もっと整理できるのでは」と感想をもらすこの空間は、審査員の田中泯さんが評価した“未完で、できそうなものをさらに壊し、疑わしいものに正当にぶつかっていく行為”と言えるでしょう。

谷本さんは、2016年11月には瑞浪市で陶芸粘土のリサーチ、12月には岐阜県現代陶芸美術館でワークショップ、2017年3月には多治見工業高校専攻科で滞在制作を行いました。それらの経験を通し、谷本さんにとって、初めて釉薬を使った陶が制作されました。谷本さんの制作は、「意図を加えない」ことから「感覚を信じる」というように変化してきたのではないでしょうか。

 

谷本さんの作品が変化する時期に、AAICの作家支援でやりたいことをできる環境や、新しい制作動機を得て、谷本さんの可能性を拡げるきっかけになったのかもしれません。

今後のご活躍を期待しています! そしてまた岐阜で制作をしてくださいね。

(M.T)