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手ざわりから生まれる自在なカタチ ワークショップ「つくって投げて! 体で楽しむ陶芸粘土」in岐阜県現代陶芸美術館

Art Award IN THE CUBE 2017のプレイベント「アートの手ざわり つくって投げて!  体で楽しむ陶芸粘土」を、2016年12月24日に、岐阜県現代陶芸美術館(多治見市)で開催しました。小学生16人が入選作家の谷本真理さんと岐阜の土を使ったワークショップを楽しみました。

最初に、谷本さんが「粘土は、山の土からできています。これは岐阜の山から掘り出してきた原土です」と、今日の素材を紹介。県現代陶芸美術館は、東濃地域(岐阜県東部)の主要文化施設の一つです。陶芸を地場産業とする地ならではの導入でした。陶芸粘土は、ワークショップに先立って岐阜を訪れた谷本さんが粘土の製造会社さんと相談し、美濃の土を原料に特別に配合してもらったものです。

まずは、粘土に慣れるためのウォーミングアップ。一人3種類ずつ粘土を選び、丸めます。違う種類の粘土を混ぜてマーブルにしたり、新しい色を作る工夫をする子が早くも現れました。黒色系粘土を白色系粘土で包んで、おまんじゅうを作った子も。おいしそうです!

「次は、丸めた粘土を細長くしてみよう!」 両手の間で伸ばしたり、床で転がしたり、方法もいろいろ。

「細長くした粘土を一つにまとめて、誰よりも高く積み上げよう!」 ぎゅうぎゅう押し付けて塔にする子や、粘土を積木状にして安定をとる子など、個性が表れ始めました。

せっかく積み上げた粘土ですが…、「蹴り飛ばして崩そう! 壊しちゃえ!」。大胆にジャンプして踏み潰す子も!

「手足を使って床に粘土を敷き詰めよう!」と谷本さんから次の声がかかります。隣の人の粘土と繋がって、いい色とカタチになってきました。最初はヒンヤリしていたツルツルの粘土が、踏んでいる間に温まって練れてきたのが写真からも分かります。

「敷き詰めた粘土をめくるように剥がして、剥がした粘土を細かく千切ろう」

すると、粘土を投げる子が現れました。バシッと音がしたり、勢いよくぶつけた粘土が壁にくっついたりして、子どもたちは大盛り上がり。5mも天井高のあるプロジェクトルームの照明近くまで投げ上げるツワモノも。シートを天井まで貼っておいて良かった…と胸をなでおろす主催者でした。

ワークショップも終盤。目を瞑って、今までで一番気持ち良かった動きで粘土を触ります。子どもたちはすっかり粘土に馴染み、思い思いのカタチを創りだしました。

最後に鑑賞タイム。谷本さんが、一人ひとりに、コメントをしていきます。小さくてワークショップに参加できなかった2人の妹と来ていた女の子は、「さ ら ち ゃ ん と や えち ゃ ん す き だ よ」と、見学していた妹たちへ、粘土で壁にかわいいメッセージをつくっていました! 谷本さんは、「粘土で書いたお手紙なんて、先生も初めて見たよ。みんなの自由で楽しい発想に、先生のほうが刺激をうけました」と締めくくりました。


身体全体を使って粘土をこねたり放り投げたりし、その温度や弾力を感じながら、カタチを生み出した子どもたち。心地よい触り方から現れる勢いや温かみを感じ取ったようです。身体感覚を鑑賞行為と繋げ、「それぞれのカタチ」を生み出す・見つけ出すこのワークショップは、学校や家庭ではなかなかできない体験となりました。

子どもたちが使った後の、ポロポロになったり混ざり合った粘土は、谷本さんが持ち帰りました。ワークショップの冒頭部で紹介した原土を混ぜると、また新たな表情が生まれます。今後、多治見工業高校で行う滞在制作で、谷本さんがいろいろ試す予定です。

「子供達のパワーがすごくて…。あれくらいパワーに溢れた空間を私も作らねば!」という谷本さん。東濃地域でのワークショップを通し、既存の粘土の使い方を越えた新しい制作方法が生まれ、谷本さんの作品がさらに進化していきます。


番外編

見学していた小さな子たちも原土でミニ体験。石ころのような原土は、小さな手で触っていくうちにネチャネチャの粘土になりました。

ソフトクリーム状のカタチを作った女の子。Art Award IN THE CUBE 2017の紹介パネルを見て、柴山豊尚さんの〈ニョッキ(如木)2017〉のカタチから刺激をうけたそうです。ぜひ、柴山さんの作品を会場に観に来てくださいね。

(M.T)