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2019.03.01

【記事】AAIC企画委員インタビュー

情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授で現代美術作家の安藤泰彦氏に、「AAIC2020」への想いを伺いました。

Q AAICは他の公募展にない、さまざまな特徴がありますが。
特に「キューブ」が重要だと考えています。閉じられている空間と思われがちですが、平面や立体、映像など、ジャンルを超えた作家が参加できる公募展であることをキューブが担保していると思っています。美術館やギャラリーではなかなかできない。

Q 鑑賞者にとっても、キューブはインパクトがあったのでは。
周りに取り囲まれるという体験自体、今まであまりなかったのではないかと思います。「観やすかった。入りやすかった」という意見をよく聞きましたが、美術、芸術の文脈を知らなくても、すんなり鑑賞できたのではないでしょうか。ある意味、「美術」が高くしている敷居をキューブが低くし、外してくれたんじゃないかと思います。
作家が創りこんだ空間に入り込み、創作プロセスを共有し追体験できることも大きい。一見閉じられている空間のようですが、作家、そして鑑賞者が『場』としてつながり、思考を促すという、開かれ広がっていく空間であったと感じています。

Q 2回目のテーマは「記憶のゆくえ」ですが。
自分ではないものの「記憶」にも目を向けて欲しいと思います。それは、ジャーナリズムや歴史認識などに通じるものなのかもしれませんが、「記憶」は至る所に存在するわけですから。
海外ではアートのみならず、エンターテインメントの中にも、時代への視座を感じる透かし彫りのような作品が多い。つまり、エンターテインメントも社会と切り離されて存在しうるものではないということです。

2018年12月12日 情報科学芸術大学院大学(IAMAS)にて