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2019.04.12

【記事】AAIC企画委員インタビュー

岐阜大学教育学部教授で彫刻家の河西栄二氏に、「AAIC2020」への想いを伺いました。

 

  • 広い領域の応募作品を期待

岐阜県美術展が、「AAIC」と「ぎふ美術展」にわかれましたが、当初は、後者の立ち上げに関わりました。「AAIC」については、全国公募の大きな展覧会が始まったなあという印象でした。ただ、私が彫刻専門ということもあり、現代美術だけでなく、もう少し広い領域の作品があってもいいようにも感じました。

多彩な審査員の方々が選考されるので、テーマが大きな要素となり、一般的な絵画や彫刻はその対象ではないとの認識がありますが、キューブを活かして模索する余地があってもいいような気がします。屋外のキュ-ブには、石や金属を用いた屋外ならではの彫刻、あるいはパフォーマンスや言語的表現などの領域があってもいいなあと思います。

 

  • 鑑賞者の裾野を広げるために

私は岐阜大教育学部で小・中学校の美術教員養成の講座をしている立場上、昨今の美術教育自体が低下していることに危機感を持っています。AAICを楽しめるよう鑑賞レベルをあげることも重要だと感じます。

全国的に美術・技術・家庭科の存続が厳しくなっている実情があり、小学校では専任美術教師のいない学校があったり、安価なキット教材を用いた、仕上がりがほぼ全員同じのお手軽な授業をしていたり、子どもの才能を、発見できる環境も少なくなっています。

そんな中、割合としてはまだ少ないのですが、専任美術教師が担当する小学校の図工の授業「造形遊び」では、「これで何ができる?」というように、場所・空間を生かして創る、いわば現代美術的な造形に取り組んでいます。AAICも、子どもたちの美術教育にもつながる展覧会になって欲しいとも思います。

来年11月にリニューアルオープンする岐阜県美術館では、日比野克彦館長が、「教育と美術」というテーマでの企画もされます。AAICが教育にも繋がれば、鑑賞者の裾野が広がるかもしれません。

2018年12月18日 岐阜大学にて