【AAIC2017入選作家インタビュー】
AAIC2020のスタートに際し、AAIC2017入選作家の三木陽子さんにお話を伺いました。
Q 岐阜県で初開催した企画公募展「AAIC2017」の入選作家として、その船出に参加していただいたわけですが、当時を振り返りながらお尋ねします。まずは応募動機から。
「身体のゆくえ」というテーマです。私自身、目に見える世界と目には見えないけど確かに存在している世界の「境界」をテーマに作品づくりをしてきたので、その延長線上に「身体のゆくえ」がピタッとはまりました。意識・無意識の相対の中に「身体」は存在し、その「ゆくえ」を想起させる作品づくりは刺激的でした。
Q 今回の展覧会作品も「境界」がテーマになっていますね。
私の場合、陶芸がベースになっていますが、それは手で考える触覚表現の芸術といえます。人間の五感の中で触角は、自己と外部の世界を結びつける根源的な感覚のように思っています。工業製品の無機質な導管を人の体内を巡る血管に見立て、随所に陶芸に込めた思いを絡めながら、相反する概念の「境界」を表現しています。
大切なのは、その「境界」が鑑賞者をどのように刺激し、どんな気持ちや思いを喚起させられるのかだと思っていますが、それはAAICでも強く意識しました。
Q AAIC2017が他の展覧会や公募展と違うなあと思った点を教えていただけますか?
賛否両論あるかとは思いますが、いろんな面で規制がなかったこと。公募テーマとキューブがあるだけで、ジャンルも年齢制限もない。さらに、審査員もいろんなジャンルの表現者が名を連ねていて、面白いと思いました。何が起こるか、何が出てくるかわからない、予測不能の展覧会と言えるのかもしれません。
作品制作の面では、入選賞金の50万円が作品制作時にいただけることや、制作支援体制がしっかりしていることは大変助かりました。作家のプロモ―ションビデオの制作もありがたかったです。
Q入選後、何か変わったことなどは。
AAIC2017に行ったよとか、見たよと声をかけられることが多くなり、美術界の中で注目度が高かったんだということを改めて感じたことと、新たな展開への契機にもなっています。
2018年10月8日 伊丹市立工芸センターにて
陶・金属・漆による3人の工芸作家の展覧会「陶 金 漆 素材と表現」を10月14日に終え、来年は、京都においてジャンルや世代を超えた作家たちとのインスタレーション、秋には大阪で個展が開催される予定。三木さんのテーマ「境界」が、今後どのように進化・変容していくのか、その作家活動に注目です。