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2022.02.28

【AAIC企画委員長インタビュー】

AAIC2023作品企画の募集に際し、桑原鑛司委員長にお話を伺いました。

桑原委員長

桑原鑛司 洋画家/AAIC企画委員会委員長

 

Q AAICの狙い、他の芸術祭との違いは?

A 一般的に現代アートっていうと、最先端のコンピューターアート、メディアアートの展覧会を思い浮かべる人が多いのではないかと思うんですが、AAICは、そうではなくて、古来からある絵画とか彫刻とか、そういうジャンルも取り込んだ、いわば総合的な、新しいイメージの現代アートの展覧会なんです。                 

 

Q 2017・2020を経て、今回2023に期待することは?

A 現代アートというのは、社会に合わせて刻々と変化していくものだと思うんですね。AAICが目指している、新しい現代美術、現代アートのイメージを、強烈に発信してくれるような作品の応募を、期待しています。

将来についても、また同じような姿勢で、展覧会そのものの取り組み方も含めて、新鮮なものになるように、考えていきたいと思っています。

 

Q 2023の公募テーマ“「リアル」のゆくえ”についてお聞かせください。

A 「リアル」っていう言葉は、美術の世界で言うと、19世紀の半ばに現れた、いわゆる写実主義=リアリズムですね。その代表的な作家はクールベで、「私は天使なんか見たことない、だから見たことのない天使は描かない」といった有名な言葉があり、現実の社会を描くのだとしています。かつてリアリズムというのはそういうものでした。

今日もコロナ禍によって、例えば、ステイ・ホームで仕事も買い物もオンラインでできる。リアルとはごく普通のこと、それは例えば、お百姓さんが、あるいは漁師が、市場じゃなくてネットで物を売るとか、例えばサラリーマンというのは、昔は“勤め人”なんて言いましたけれども、今は会社へ行かずに、自宅でオンラインで仕事をする、それを政府が奨励するというような時代が今日のリアルで、コロナ以前には考えられないようなことが起こっています。こういう未曾有の変化を、どんなふうに感じ、どんなふうに表現するか、というところを見てみたいと思っています。

 

Q 審査員の方はいつも多彩な分野から招聘されていますが。

A 審査員というのは、やっぱり展覧会の顔でして、その顔ぶれを見ると、どういう展覧会なのかある程度想像することができると思います。AAICという展覧会は、どんな作品が出てくるかわからない。そういう意味では、いろんなジャンルの高名な方に審査員をお願いして、どのような作品が出てきても対応できるように、そんな狙いを持っています。

審査員の顔ぶれを見て、ぜひ自分の作品をこの方に見ていただきたい、評価していただきたいという応募者がたくさんいらっしゃいました。

これからもこういう態度で審査員を選んでいていきたいと思っています。

 

Q 応募される方、また展覧会を鑑賞される皆様へのメッセージをお願いします。

A 作家の皆さんには、この世の中の大きな変化に、皆さんがどんなふうに対応され、どんな反応をし、どういった表現をするのか、ということに注目していきたいと思います。

鑑賞してくださる皆様には、そういうところを踏まえて、作家の興味を持つ点がどんなことなのか、その辺りを作品から読み取っていただきたいと思っています。

 

令和4年2月15日岐阜市内にて