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2022.03.28

AAIC企画委員会髙橋綾子委員インタビュー

AAIC2023のスタートに際し、髙橋綾子企画委員にお話を伺いました。

 Q 企画委員の立場から、AAICをどのように評価されていますか。

 A 例えば、中堅と言われる人が、今さら公募で腕試しをするのはプライドが許さないって、そのように考える人もいるかもしれないですね。だから、どのようなキャリアの人にとっても魅力的な公募展であれば、挑戦してみようと思ってもらえるのではないかと考えます。ちょっと変わった公募展で、それが面白いからプランを出してみようって、そう思ってもらえる仕組みが、このAAICにはあると思います。

 もう一つ、公募展の真価は、入選作家たちのその後にあるのではないかと思います。AAIC2017で大賞を受賞した「ミルク倉庫+ココナッツ」が、今年開催される国際芸術祭「あいち2022」の参加アーティストに選ばれました。その点でも、AAICが中部圏で開催される企画性のある公募展であることを証明していると、少なからず自負しています。

Q 今回のテーマについて、どのようにお考えですか。

A 美術展のテーマやタイトルは、時機を捉えたキャッチーなものであったり、目や気を惹くものであったりしてもいいと思っています。しかし公募展のテーマは、明らかに方向性を誘導しているものや、自由な発想を妨げるようなものであってはいけないと考え、本当に悩みました。

 今、私達の中の「リアル」という感覚や、その環境は、様々に変化しています。そこには、新たな希望や期待があると同時に、何らかの危機感、つまり批評的な観点もあるはずです。本当にこのままでいいのだろうか、あるいは変化の速度に対して、視野が狭くなっていて気がついてないことがあるかもしれない・・・。そういうことに対して、美術が私たちに、はっと何かを気づかせてくれることを期待しています。

 表現の「リアリティ」とか「リアリズム」という連想から、物質的な存在感のあるもの、量感や写実性が、必ずしも期待されているわけではありません。VRなどの技術を駆使したものや、演劇性を内包した多様で自由な方向性もあるでしょう。

 新型コロナウイルス感染症に直面し、私たちは芸術に触れることの大切さを痛感しました。その場・その空間に来て観ないと絶対伝わらないものがあると思う反面、さまざまな工夫や創造性で、新たなコミュニケーションがひらかれる可能性にも気付きました。

 作家たちにはぜひ、まさに今を生きる私たちにとっての「リアル」とは何かということを考え、挑戦して欲しいですね。 

Q 今回のテーマは、美術関係者以外の方からも関心を集めており、「コンセプトやプラン提出ならできそう」という意見も聞こえてきます。ただ、そんな応募が増えた場合には、「実際に作品にすることが難しいのでは?」という企画が増える可能性があります。その辺り、どの様に考えられますか? 

A 審査員は、企画プランを見て、「これを実際の作品として見てみたい」と期待するものに票を入れると思います。一方、応募した人たちは、必死でそのプランを実現しようとする。それ自体が、とても好ましい関係だと思います。

 例えば、これまでも建築系の人たちがチームで応募してくれていました。個人的には、チームで一つの世界・小宇宙を創り上げるような、つまり新しいコレクティブが生まれるような、そういう挑戦も期待しています。

 今まさに、創りたいと思うものがある人は、企画プランを出すべきだと思います。生まれるべくして生まれるものが、きっとあると信じています。

髙橋綾子 名古屋造形大学教授/AAIC企画委員
令和4年3月4日岐阜市内にて